スサノオノミコトの豪快な英雄譚は『日本書紀』や『古事記』の神話の章での読みどころの一つで、中でもスサノオがヤマタノオロチを退治して体内から得た「クサナギノツルギ」が後の王権の象徴とされており、また、生贄とされていたクシナダヒメを救ったエピソードは、世の中を覆う大いなる憂いを断ち切り、弱者を救う姿として人々の共感を呼び、各地の神楽や演劇などに度々取り上げられてきました。スサノオノミコトは京都祇園社の祭神であり、永く疫病・怨霊除けの神として信仰され、博多祇園山笠を主宰する櫛田神社の御祭神三柱のお一人でもあります。
「神功皇后(じんぐうこうごう)が香椎宮(かしいのみや)から松峡宮(まつおのみや)に向かっていると、突然、一陣の風がおこり皇后の被っておられた笠が吹き飛ばされた。その時の人々はその場所を「御笠」というようになった」と『日本書紀』に記されています。また、『万葉集』には「おもわぬを おもうといはば大野なる 御笠の森に神し知らさむ」と大宰府の官人大伴百代(おおとものももよ)が坂上郎女(さかのうえのいらゆめ)に送った恋慕の歌が残されています。かつては今の大野城市から太宰府市周辺は「御笠郡」とされ、古代の文学に通じるゆかりの場所として知られています。