平安時代末期、源平合戦の最終決戦である「壇ノ浦の戦い」で源義経率いる源氏は平家を滅ぼします。
平家討伐の大功を立てた義経は、後白河法皇から禁裏の重宝「初音の鼓」を賜ります。
しかし、その鼓は源頼朝の討伐を暗示したものであった為、義経は兄・頼朝から謀反の疑いを掛けられ、追われる身となってしまいます。義経は頼朝に恭順の意を示す為、都から離れることを決意します。
一行は都の外れの伏見稲荷社の鳥居の前まで落ち延びると、義経の愛妾・静御前が跡を追って来ます。静御前は義経との同道を望みますが、義経はそれを許さず、形見として「初音の鼓」を預け、説得に応じない静御前を木に縛り立ち去ります。
そこへ、頼朝の家来・笹目忠太一党がやって来て、静御前を捕らえて「初音の鼓」を奪い取ろうとしますが、義経の家臣・佐藤忠信が現れ、忠太等を追い払います。
参詣を終えた義経は、静御前を救った忠信に褒美として自らの姓名・源九郎と着背長を与え、静御前の警護を命じて、再び西国を目指します。
義経から自らの名を授かるほど信頼されていた忠信は、実は狐が化けたもので、幼い頃に親狐が捕らえられ、「鼓の皮」に用いられます。その鼓が「初音の鼓」であり、親を慕う想いから忠信の姿を借りて(鼓を持つ)静御前に付き従っていました。
この飾り山笠は、忠信の主君に忠実を尽くす誠実な姿と、親を想う優しさを表現した一場面です。
昔々、現在の神奈川県と静岡県との県境に聳える『足柄山』の山奥で、大きな熊と男の子が山の動物等の声援を受けて相撲をとっていました。
その男の子の名前は『金太郎』と言い、この足柄山に母親と二人きりで住んでいました。
『金太郎』はいつも「鉞」を担いで、山の動物等と毎日仲良く楽しく暮らしておりました。中でも熊とは大の仲良しで金太郎が行く所にはいつも離れずついて行き、熊に跨がり乗馬の稽古をしたり力をつける為に相撲をとったりして、朝から晩まで一緒に生活をしていました。
そして、金太郎も日毎に力が強くなり子供でありながら大人以上の体格となり、熊と相撲をとっても負けることなく軽々と頭上に持ち上げ、大木も根こそぎ引き抜いて倒したり大岩を軽く投げ飛ばしたりするなど誰にも負けない力持ちとなりました。
又、山のあらゆる動物等を愛する優しい心の持主でもあります。
月日は廻り金太郎も成人を迎え、この怪力を世の為、人の為に役立てたいと思い母親の勧めもあり都へ上り、都でも名武将と言われる「源 頼光」の家臣となり、名前も『坂田 公時』と名乗ります。
源 頼光の家臣には、他にも「渡辺 綱」 「碓井 貞光」 「卜部 季武」と言う立派な武将達がおりました。その三人の仲間に加えられ 金太郎を合せて「源 頼光」の「四天王」と人々に呼ばれる様になり、大江山に住んで人々を苦しめていた「酒呑童子」と言う怪物を退治した名高い逸話もあり、後世に名を残す程の人物となりました。
それからも公時は源 頼光に仕え世の為、人の為に尽くしました。
この飾り山笠は昔話・金太郎の一場面です。