【飾り山笠】番外 櫛田神社

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表標題

歌舞伎十八番暫かぶきじゅうはちばんしばらく

人形師

人形司 武平  

内容説明

舞台は、鎌倉・鶴岡八幡宮。天下を手中に収めたかのように思い上がっている悪人・【清原(きよはらの) 武衡(たけひら)】は、臣下の【鹿島(かしま)入道震(にゅうどう)斎(しんさい)】、【那須九郎(なすのくろうの)妹(いもうと)照(てる)葉(は)】等を引き連れ、宝剣を神社へ奉献するところ。そこへ、【賀茂(かもの)次郎(じろう)義(よし)綱(つな)】が許婚の【桂(かつら)の前(まえ)】を連れて、朝廷の繁栄を祈願し、額に納めた大福帳を奉納するために神社へ訪れる。
 賀茂家を予てより快く思っていない武衡は、義綱にその奉納の品に対して難癖をつけ、更には、桂の前に自分に従うよう迫る。
 しかしながら、それに承知をしない義綱に対して、武衡は腹を立て、
(義綱)一同を斬り殺そうとする。
 まさに絶体絶命の瞬間、何処からともなく「しばらく!」と大きな声が聞こえてくる。ムカデのような車(くるま)鬢(びん)、真紅(しんく)の筋(すじ)隅(くま)、柿色の巨大な衣装を纏(まと)い、二メートルを超える大太刀を差した恐ろしげな大男が登場する。その男こそ【鎌倉権五郎景(かまくらごんごろう)政(かげまさ)】である。
 武衡は、家臣達に権五郎を追い払うよう命じるが、彼らが脅しても、力尽くで抑えようとしても、びくともしない。
 そして、権五郎は、武衡が奉納した宝剣は偽物であること、又、賀茂家が以前より探している「探題の印」を盗んだのも、彼の仕業であると、武衡の悪行を暴き立て詰め寄る。
 すると、急に(武衡の家来)照葉が義綱側へ寝返えった。実は、彼女は、義綱の味方であり、「探題の印」を奪い返し、本物の宝剣を見つけ出し、それら重宝を義綱の元へ。一方、権五郎は、最後の悪あがきで討ち掛かってくる武衡一味に大太刀を振りかざし、あっという間に切り捨て、意気揚々と引き上げた。
 この「暫」とは、「歌舞伎十八番」のひとつに数えられている演目であり、代々・市川團十郎が得意とした「荒事」で演じられる「成田屋」の家の芸である。

 

 

 
 

                                                                                       
見送り標題

神話八俣遠呂智しんわやまたのおろち

人形師

小島 慎二

内容説明

神代の昔、高天原(たかまがはら)から追放された須佐之男(すさのおの)命(みこと)は、出雲(いずも)国(のくに)(現在の島根県)肥(ひの)河(かわ)の上流の鳥(とり)髪(かみ)に降り立たれました。
そこで、一人の娘を囲んで泣いてる老夫婦に出会いました。     
須佐之男命は泣いている理由を尋ねると、「私たちには八人の娘がいましたが、年に一度、八俣(やまたの)遠呂(おろ)智(ち)という怪物がやってきて、娘を一人ずつ食べていったのです。最後に残った末娘も食べられてしまうと思い、泣いていたのです。その八俣遠呂智は、一つの胴体に八つの頭と八つの尾をもった大蛇です。」と答えました。  
そこで須佐之男命は、櫛名田比売(くしなだひめ)との結婚を条件に、老夫婦に八俣遠呂智退治を約束したのでした。
早速、須佐之男命は、老夫婦に家の周りに八つの門を設けさせ、更にその門ごとに八回醸(かも)した強い酒を満たした樽を置かせました。
こうして待ち構えていると、八俣遠呂智が現れ、それぞれの酒桶に頭を入れて飲み干し、酔って寝てしまいました。
ここぞと須佐之男命は、その隙をついて十握剱(とつかのつるぎ)で八俣遠呂智を斬り刻みましたところ、尾を斬ると剣が欠けたので、不思議に思い、尾を割いてみると、見事な太刀が出てきました。
この太刀こそ、後に「天(あめの)叢(むら)雲(くもの)剣(つるぎ)」で天照大神に献上され、今に「三種の神器」の一つと伝えられています。
この飾り山笠は、須佐之男命が八俣遠呂智を退治し、「草薙剣」を得る場面であります。

 

 

 


 

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