余香馥郁大楠恩(よこうふくいくたりだいなんのおん)
宗田 智幸
余香は消えず残っている香。転じては過去に受けた忘れられぬ恩恵。馥郁は豊かに香るさま。良いお香や花は、その漂ってくる香りに貴賓が感じられる。人もまた同じ。その人柄か、人徳か、良い評判や影響がどこからともなく香ってくる。
謝国明は宋国出身で鎌倉時代前期に博多に居住し、同じ宋人の貿易商人達の中心人物として日宋貿易で活躍し、博多の町の発展に大きな役割を果たした大恩人で ある。また山笠発祥の寺院として知られる承天寺を建立、聖一国師を開山としてお迎えすると共に、飢饉の際には博多の人々にそばを振舞い、これが年越しそば の起源と云われている。大楠様とは謝国明の通称名である。